電磁戦隊メガレンジャーオリジナル版 
「こんなのアリ? みくの夢にインストール」

 
 


1.

        街の中、アイスクリームを手にスキップしてくる女の子と後から歩いてくる男の子。
        みくと瞬だ。うれしそうなみくの表情から本人はデートと思っているらしい。
        みく、急に振り向き、
               「ねぇ、瞬。もう一軒買い物に付き合って。」

        瞬は腕時計(?・・・デジタイザーにしか見えないが・・・)に目をやり
               「電車まで時間ないぞ。もう帰らなきゃ。」
        みく  「え〜〜〜〜〜〜〜っ。そんなのつまんな〜い。・・・・・・
                 そうだ、インストールしてサイバースライダーで帰ったら大丈夫だよ!ネっ!」
               と、いきなりインストールのポーズをとる。

        瞬が近寄り、
               「よせよ。誰かに見られたらヤバいぞ。・・・だいたいそんな理由でインストールなんかするもんじぇねぇよ。」
        みく、ちょっとふくれて
               「な〜にィ?耕一郎みたいなお説教しないでよォ〜。」

        その時、すれ違う人込みの中で歩く速度を落とした女がいた。コートに身を包んだシボレナの変装にも見えるが・・・
        女    「インストール?あの2人がメガレンジャーか・・・よし、見てるがいい。」
        そう言って女は何か黒いものを手放した。

        みく、駅の階段に座り込み、
               「ねぇ、行こうよォ。行ってくれるまでもう動かないからぁ。」
        瞬    「もう、しょうがない奴だなぁ・・・」

        女の手から離れた黒い小さな物体は、アイスクリームをなめているみくに近づいて見えなくなった。と同時に、
        みく  「いたぁっ!」

        みく、痛みでビクっと反応し、持っていたアイスクリームは地面に落ちてしまった。
        瞬    「どうした?みく」

        みく、足をさすりながら、
               「アリかなんかにかまれたかも・・・」

        瞬、みくに近寄ると、ポケットからバンソウコウを取り出し、
               「ほら、これでも貼っとけよ。たぶんアリだったらアイスクリームにつられたんだろ。」

        みく、バンソウコウを受け取って、瞬の方をうれしそうに見つめる。
               「あたしがドジだからこんなの用意しててくれたの?」
        瞬    「バ〜カ。そんな理由だったら救急箱でも足りねぇよ。」

               ぶっきらぼうに言いながらも瞬は笑顔だった。
 

 (ここでタイトルのテロップ)「こんなのアリ?みくの夢にインストール」

2. 
     −−−−−ネジレジアで

        Dr.ヒネラー  「シボレナ、今までどこに行っていた?」
        シボレナ       「申し訳ありません、Dr.ヒネラー。ちょっと思うことがありまして・・・」
        Dr.ヒネラー  「思うこと?何だ?・・・それにアリネジラーはいっしょじゃなかったのか。」
        シボレナ       「ある女が気になりまして。地球に潜入させました。これから続きをするところです。入れクネクネ!」

        クネクネが1体やってくる。
        シボレナ       「Dr.ヒネラーにお見せするのだ。」
        シボレナの命令で、クネクネはある制服姿の男に変装した。が、暗くて顔はよく見えない。
        Dr.ヒネラー  「理由はいい。思うようにやってみろ、シボレナ」

        そこへ、ユガンデが焦ったように入ってくる。
        ユガンデ       「Dr.ヒネラー!!」
        Dr.ヒネラー  「どうした慌てて。少しは落ち着け!」
        ユガンデ       「わ、私の質量変化銃がなくなっているのです。」
        シボレナ       「あら。あなたの銃だったの?てっきりDr.ヒネラーが優秀な私のために作ってくださったものだと
                            ばかり思っていたのに。」
        ユガンデ、シボレナに近寄り肩に手を掛ける。
        ユガンデ       「何だと?あれは俺がメガレッドを倒すために作ったものだぞ。何で貴様が勝手に使うんだ。」
        シボレナ       「あ〜ら。メガレッドを倒す?それならなぜ質量変化なの?メガレッドに浴びせて小さくしてから
                            踏み潰すつもりだったの?まああなたではそうでもしないと倒せないものね。」
        ユガンデ       「何とでも言え!それより銃をすぐここへ持ってこい!」
        シボレナ       「あら、ごめんなさい。地球のアリネジラーたちに持たせてしまったわ。
                            まあ私が使った方が面白い結果になると思うけど・・・」
        ユガンデ       「くそ〜っ!!」
        ユガンデ、シボレナを殴ろうとする。そこへDr.ヒネラーのビームが飛んできてユガンデを吹き飛ばす。
        ユガンデ       「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
        壁にぶち当たり、やっとの思いで起き上がるユガンデ。
        ユガンデ       「Dr.ヒネラー!なぜです。こんな奴をかばうのですか!」
        Dr.ヒネラー  「黙れ!ユガンデ。貴様が管理してないから悪いのだ。今はシボレナの思うこととやらに興味がある。」
        ユガンデ       「くそ〜っ。地球に行って取り戻してきてやる。」
        言うが早いか、ユガンデは姿を消してしまった。

        シボレナ       「Dr.ヒネラー。ありがとうございます。必ずやご期待に添えるものと。
                            私は続けてやることがありますので、もう一度行ってまいります。」
        Dr.ヒネラー  「うむ、シボレナ。期待しているぞ。まあユガンデのことは気にするな。邪魔はさせないようにする。」
        シボレナ       「ありがとうございます。では。」
        シボレナも姿を消した。
 


 
3.
      −−−−−とある公園で

        みく    「瞬もひどいよォ。ちょっとクスリ買ってる間においていくんだもん。はぐれちゃったじゃない。
                   さっきバンソウコウくれた分でせっかく喜んでたのにさっ。」

        ちょっとふくれっつらで歩くみくだったが公園の中に目をやった瞬間立ち止まってしまった。
         ベンチに瞬らしき人影がある。でも横に女性が座っている。

        みく    「あれ?瞬?なんで?」

        みく、あわてて走り寄る。やっぱり瞬が座っている。

        みく    「瞬!どういうつもり!今日は私とデートしてくれてるんじゃなかったの?大体電車まで時間ないから
                   帰ろうって言ったのそっちじゃない!なのに何なのよ、駅に着いたら姿見えなくなっちゃうし、
                   こんなとこで女の人と座ってるし・・・・誰よ!その女の人はぁ!?」

        瞬はだまったままで何か言葉を求めるように隣にいる女の方を向いた。
        女は『分かった』とでもいうように目で合図し、みくの方を向くとこう話した。

        女      「ごめんなさいね、お嬢さん。瞬くんを引き止めたの私の方なの。以前から瞬くんと付き合ってるんだけど
                  今日はあなたとデートだって聞いてたからいてもたってもいられなくって。ここまで来てしまったの。
                   ごめんなさい、私って意地悪よね。」

        みく、瞬の方に詰め寄り、両肩に手をやり、瞬をゆさぶりながら

        みく    「瞬、そうなの?前からこの人とだったの?ねぇなんとか言ってよォ。」

        瞬、無言のままうなずく。
        ゆすっていた手を放すみく。

        みく    「瞬なんか大っキラい!!!!!!バカ〜〜〜〜っ!!!!!」

        みく、泣きながら走っていく。女の目の合図で、そのあとを瞬は慌てて追いかける。
        そのとき、公園の近くのスーパーから前が見えないくらいに買い物袋をかかえて健太が出てきた。

        健太   「やべぇ〜っ。遅れちまったぁ。」

        その前の通りをみくと瞬が走り去っていく。横目で見る健太。

        健太   「あいつら、まぁたケンカしてらぁ。飽きねぇよなぁ〜」
 


 







4.
     −−−−−デジタル研究室

        千里   「もう〜〜。遅い〜〜〜〜っ!!!何やってんのよ〜」

        千里のどアップが健太の視界にとびこんできた。
        健太、頭をかきながらバツ悪そうに

        健太   「わりィわりィ。駅前でばったりたけしに会っちまって。」

        耕一郎が買い物袋を取り上げながら、

        耕一郎  「それで頼まれた買い物放っておいてゲームやってたのか?まったく・・・・大体お前は・・・」

        さえぎるように瞬が2人の間に入り、

        瞬      「まあ言うな。健太が寄り道してたおかげで俺も合流できたし、こっちはこっちで結構時間つぶしてたんだろ?
                   なぁ千里。耕一郎と何やってたんだ?」
        千里   「な、何で?何もあるわけないじゃない?何で健太が遅れたのそっちのけで私たちが責められてんのよ?」
        耕一郎  「そうだ。大体健太!お前はいつもいつも・・・」

        ピリリッピリリッ・・・デジタイザーの音がした。

        久保田博士   「ネジレ反応だ!みんなすぐ急行してくれ!!」
        千里   「もう〜〜っ!健太が遅いからまたお昼ヌキ〜っ?かんべんしてよォ」
        健太   「わりィわりィ。早く片づけて帰ってこようぜ!千里にはジュースおごってやっからよ。」
        千里   「もぉそういう問題じゃないィ」

        ふてくされている千里。もういいという感じで部屋を出ていく。

        耕一郎  「みんないくぞ!」   耕一郎も部屋を飛び出す。
        健太   「そういやぁ瞬。おまえまたみくとケンカしたのか?結局さっきは逃げられたまんまか。だらしねぇなぁ。」
        瞬      「何言ってんだ健太。おれたち電車でいっしょに戻ってたけど、あいつアリにかまれたからクスリ買ってくるって。」
        健太   「言い訳すんなよ。おっかけっこしてたのこの目でちゃ〜んと見たんだぜ。」
        瞬      「言い訳なんかしねぇよ。ホントにケンカはしてないし、駅で別れたんだ。」
        健太   「うそつけ!じゃ公園で走ってたのは何なんだよ!?」
        瞬      「公園?公園なんか行ってないぞ。お前の見間違いだろ?・・・・・・そんなことより急ぐぞ!」

        そういって瞬も部屋を飛び出す。健太は首をかしげながら

        健太   「何だよォ。訳分かんねぇなぁ。じゃあさっきの誰なんだよォ・・・」

        健太も走っていく。
 


 








5.
     −−−−−いまは操業していない工場の敷地内

         変身した健太たちメガレンジャーが駆けつけた。メガレッド、メガブラック、メガブルー、メガイエローの4人。
         メガピンクがいない。辺りを探すため散らばる4人。
         メガレッドがデジタイザーに向かって、

         メガレッド(健太) 「久保田のおっさん!何もいねぇよ!デタラメ言うなよ」

         確かに辺りにはネジレ獣の姿もなければ、被害を受けた様子もなかった。
         メガレッドのもとにメガブラックとメガブルーが戻ってきた。

         久保田博士 「おかしいな。でもまだネジレ反応がかすかだが出ているぞ。さがしてみてくれ。」
         メガレッド    「て、言われてもなぁ・・・・」

         「キャ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」

         メガイエローの叫ぶ声が工場の建物の裏から聞こえた。
         急いで駆けつけるメガレッド、メガブラック、メガブルー。
         メガイエローのところに行ってみると抱きかかえられたみくの姿があった。
         変身を解くメガイエロー。千里の姿に戻り、

         千里  「みく!しっかりしてよ。みく!みく!」

         メガレッドも変身を解き健太に。

         千里  「健太ぁ。みくが・・・みくが・・・・」
 
         健太が代わりにみくを抱き起こす。

         健太  「あぁ。みく!いったいどうしたんだよ!?」

         ゆすってみるが、気絶しているみく。何の反応もない。

         健太  「とりあえずアイネットで見てもらおう!戻るぞ!」
         メガブラック(耕一郎) 「待て健太。ネジレ反応はまだ分かっていないんだぞ。」

         メガブラックが健太の肩に手を掛けたが、健太はその手を振り払うと、

         健太 「うっせぇなぁ。こんなんで戦えるかよ!みくがこんなになってんだ!やりたきゃお前一人で待ってろよ!」

         メガブルー(瞬)がメガブラックをさえぎり、

         メガブルー「メガブラック。俺たちもいったんメガシップへ戻ろう。対策はそれからだ。」
         メガブラック「あ、あぁ。分かった。・・・デジタンク!!」

         機動用の装甲車デジタンクを呼び乗り込む健太たち。
 

(アイキャッチ)

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